研究員紹介

 理工系大学での教授たるものはD○合資格を有することが求められます。
 鳩山科学技術研究所の研究員は経歴を問わず実績を重視します。
 当研究員は履歴や肩書きを省き現役時代と変わらないD○合資格の実力を示します。
 現在の研究内容と得意な研究分野を説明し役職等の経歴は省略します。


<小畑修二>

所長

obata@hatoyama-ist.work


1948年9月9日

新潟小学校,寄居中学,新潟高校,東京電機大学,同大学大学院.

東京電機大学 理工学部 電子・機械工学系
同大学後期博士課程 先端科学技術研究科 電気電子システム工学専攻 D〇合
所属学会
電気学会,日本物理学会,金属学会.


主要研究
<2010年以前の特記する研究>

1. Shuji Obata: “Clustered Recursion Method for Solving the LCAO Equations in Condensed Matter”.
: J. Phys. Soc. Jpn., 60 (65-76) 1991. (小畑修二:“緻密物質における原子軌道線形結合方程式を解法するクラスター化リカージョン法”) [概 要]従来のリカージョン法を改良し,固体の電子構造計算を実空間で行う新たな計算手法を開発した。 重なり積分を含むクラスター化したLCAO(原子軌道線形結合)を用い,電子固有状態の状態密度を一括して 求める計算を行った。

2. Shuji Obata and Shigeru Ohkuro: “Distribution Phenomena in Continued Fractions and Logistic Map”
: Progress of Theoretical Physics, 101, No 4 (1999) 831-846. (小畑修二,大黒茂:“連分数とロジスティックマップに於ける数値分布現象”). [概 要]ロジスティックマップを形成する方程式がセルフコンシステントな連分数の為す関数系の1部であることを示した。 ここで,方程式群のカオス的な数値分布がコーシー分布を成し,方程式の複素解の値と対応することを見出した。 この関係を応用してエネルギー状態密度(DOS)の計算を応用してロジスティックマップのDOS表現を行った。

3. Shuji Obata, Shigeru Ohkuro and Toshiaki Maeda: “Chaotic and Chaos-Like Behavior in Continued Fractions”
: Progress of Theoretical Physics, 101, No 5 (1999) 1175-1179.(小畑修二,大黒茂, 前田利明:“連分数に於けるカオスと カオス的振る舞い”). [概 要]連分数系の関数に表れるカオスとカオス的振る舞いを分類し,特異なカオス的数値分布を計算機 シミュレーションで求めた。

最近の研究

1. 野口 祐智,小畑修二:テニスラケットのゴム輪による除振効果(有限差分法による数値解析), 日本機械学会論文集(Trans-JSME 2016 年 82 巻 842 号 p. 16-00273 ) [概 要]テニスラケット面のボールの衝突による波動を数値的解析し,ダンパー効果を調べた。 実験と合わせてダンパーの形状に対する効果を評価した。
2. Morishige Yoneda, Shuji Obata, and Masaaki Niwa and Mitsuya Motohashi : “Duality and control theory in spin Josephson junction”, Trans. Mat. Res. Soc. Japan, 40 [2] (2015) 115-118: (米田守重,小畑修二,丹羽雅昭,本橋光也,“スピン・ジョセフジャンクションに於ける2重性と制御理論”) . [概 要]フェリ磁性体は周期的に強磁性と反強磁性が混在する状態と考えられている。こうした量子系の磁化過程を, 2種類のスピン系の接合部に於ける量子遷移として捉えると,電子のジョセフソン接合に於ける量子的位相遷移に 相当するスピン移動が生ずるものと予想される。こうしたスピン状態に於ける想定される磁化過程ステップを計算した。
3. Morishige Yoneda, Shuji Obata, and Masaaki Niwa: “Simulation of the Magnetic Hysteresis Loop in Ferrimagnetizm”. Materials Transactions. 56 No 9. (2015) 1488-1490:(米田守重,小畑修二,丹羽雅昭, “フェリ磁性に於ける 磁気ヒステリシスループのシミュレーション”). [概 要]Fe3O4なるフェリ磁性体は逆スピネル構造の2つの副格子上の磁気双極子モーメント相互作用で形成される。 こうした2相の磁化エネルギー構造で形成される磁化過程を説明するため,2つのパラメーターを持つ遅延追跡法を考案し, Fe304の実験結果と良く一致する中央にくびれの有るヒステリシスループを得た。
4. S. Obata: “Computer Simulations on Barkhausen Effects and Magnetiztions in Fe Nano-Structure Systems”, Materials Transactions, 55, No.10 (2014)1591-1598: (小畑修二,“Feナノ構造系のバルクハウゼン効果と磁化過程の計算機シミュレーション”). [概 要]鉄原子による磁性をボーア磁子による古典スピン系の現象として扱い,原子磁気双極子モーメント間長距離 相互作用におけるエネルギー構造を調べた。外場Hによる磁化エネルギーの磁気モーメント配列の最適化(低温状態)を行い、 鉄のナノ領域の磁化過程を調べた。磁区構造、磁化曲線、バルクハウゼン効果など多くのナノ磁性の実験結果を説明する結果を得た。
5. 小畑修二,“磁区エネルギー構造と遅延追跡法によるバルクハウゼン効果の解析” IEEJ Trans. FM, 133 No 9 (2013) 489-499:  (S. Obata: “Analysis of the Barkhausen Effect with Domain energy system and the Retarded Trace Method”), [概 要]原子磁気双極子モーメント間相互作用エネルギーに基づいてFeの磁性を解析した。大規模な計算能力資源を利用し、 全系のモーメント間長距離相互作用相互作用を計算し双極子モーメントの向きごとに特性を調べた.磁区形成において隣接区間で、 モーメント向きが反対向きになる場合と、π/2ずつずれてループを形成する状態がエネルギー的に安定になることを見出した。
6. 小畑修二,”筋動ソレノイドアクチュエータの開発”, IEEJ Trans. FM 132, No 1,(2012) 63-71. :(Shuji Obata: “Muscle Motion Solenoid Actuator”), [概 要]ソレノイドを用い,ストロークが4cm,出力が10N以上のリニアアクチュエータを開発した. Nd磁石と駆動コイルを筒状フェライトの筐体で覆い、永久磁石磁場とコイル電流との相互作用で強力な引力を発生する装置を考案した. 従来型はストロークが短く,実際の筋肉運動を模すことが出来ず,アクチュエータとしては見捨てられていたが,本研究でアクチュエータ としての機能を十分に発揮する装置を示した.筋肉のミオグラムと類似する交流発振装置をタンク回路として設け, その出力をコイルに整流して流す電源装置を設計した.
7. 小畑修二,”ナノ・マイクロ磁性体の誘導加熱計算”, J. Mag. Soc. Jpn, 36, No3 (2012) 161-168. (S. Obata: “Induction Heating Calculations of Nano_Micro-magnetic Materials”), [概 要]ナノ磁性体が棒状クラスターを形成すると磁性が強くなり,磁性細菌のナノ磁性体の実在と一致することを示した. ナノ磁性体の誘導加熱特性を遅延追跡法のB-H特性解析法を用い,理論的に誘導加熱特性を計算した.ハイパーサーミアに 適用できるナノ磁性体の誘導装置を考案しその加熱特性と,合わせてマイクロオーダーの磁性体ハリの誘導加熱特性を示した.
8. 小畑修二,”磁性金属における誘導加熱過程の計算法”, IEEJ Trans. FM 131, No 10, (2011) 838-845. (Shuji Obata: “A Calculation Method of Induction Heating Processes in Magnetic Metals”). [概 要]鉄芯ソレノイドの誘導加熱特性について表皮効果を含め理論的な計算法を示した.透磁率,B-H特性曲線,金属抵抗, コイル抵抗の温度変化を考慮し,パラメーターがマルチ変化する状態での磁性金属の誘導加熱特性を計算した.B-H特性曲線の 解析については遅延追跡法を発案しその有用性を示した.